国が調べたブラック企業・業界ランキング ! 残業や賃金未払い、危険な職場の資料、摘発事例も紹介。派遣や正社員で転職・就活を成功させる!

もし就活・転職した先がブラック企業だったり残業の多い会社だったら……って思うと怖いですよね。転職やっぱりやめようかなって思っちゃいますよね。

2日に1人新卒が辞めていくとか、月残業120時間とか、労災の多い会社とか、全体就職したくないですよね。私が以前勤めていた会社はこんな会社でしたが、二度とそんな会社では働きたくないです。

「転職した先もこんなブラック企業だったらどうしよう……」って転職活動してたとき思っていました。入社する前日までそう思っていました。

そんなわけで今回は平成30年に公表された厚生労働省の「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果」を一部ご紹介します。

まずは全体の状況から! とはいってもこの世はブラックだらけ……

この調査では下記の事業所を対象に調査しています。

この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働数が1か月当たり80 時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。

厚生労働省 │長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します   平成30年8月7日

ブラックそうな職場や過労死が起きたりしたもう完全にブラックな事業所を対象に調査したようです。

業界別で見る前に、全体での調査結果を見てみましょう。

 平成29年4月から平成30年3月までに、25,676事業場に対し監督指導を実施し、18,061事業場(全体の70.3%)で労働基準関係法令違反が認められた。主な法違反としては、違法な時間外労働があったものが11,592事業場、賃金不払残業があったものが 1,868事業場、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが2,773事業場であった。


厚生労働省 │長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します   平成30年8月7日

やっぱり違法残業が多いですね。個人的には健康障害防止措置がされていない事業所が多いのも気になります。

一度大けがや健康障害になってしまうと働けなくなってしまうことが多いからです。もちろん、障害年金などがもらえることもあるので、生きてはいけるでしょうが、けがや病気に一生苦しんでいかなければいけない可能性もあります。

私は工場の製造現場に派遣されていたこともあるので、労災になるようなケガや病気になれば大変だということをよく教えられてきました。

当然、死ぬこともあるので、健康障害防止措置がなされていない事業所がこんなに多いのは意外でした。

1位は運輸交通業! 運転手はやっぱりきつい。

1位は運輸交通業でした。調査対象のうち3,427件、83.7%が法令違反でした。他の記事でも紹介しましたが、精神疾患による労災申請件数もトップクラスでした。

世の中を支えているトラック運転手はブラックでやはりきついということなのでしょうか。Amazonとかで配達されてきたものはちゃんと1回で受け取らないとだめですね。

運輸交通業なので、高速バスの運転手なども含まれてはいます。数年前にも事故などで結構ニュースになっていた記憶があります。

朝早くから夜遅くまで運転となるとやっぱりきついのでしょうね。

ちなみに、賃金不払残業が256件、健康障害防止措置が455件でした。

2位は接客娯楽業! サービス業はつらい……

2位は接客娯楽業で1,479件、80.2%が法令違反でした。業種区分でいうと飲食店や旅館などになりますね。競馬や競輪、公園や遊園地の運営もこちらに含まれます。

飲食店は確かにつらいでしょう。人件費が削られやすい職種なので、給料も低いことが多いですし、長時間労働・低賃金のブラック企業・業界としては有名ですね

飲食店や旅館の場合だと個人経営であまり労務などの管理体制がちゃんとしていないことが多いです。家族経営でそのあたりをちゃんとやっていなかったり、昔からの習慣でそもそも気にしていなかったりします。賃金不払残業が236件、健康障害防止措置が453件でした。運輸交通業と比べるとこの2つの割合が高いですね。資金繰りのうまくいっていない飲食店が多いのでしょうか。サービスは良くても経営は良くないんですかね。

以下は実際の飲食店での調査で発覚した事例になります。

労働時間の記録を確認したところ、シフト管理表と本社に報告している記録との間に乖離 がみられたことから、労働時間の管理者(支配人)に説明を求めたところ、本社の取締役 からの圧力により、実態を反映していない虚偽の労働時間数を本社に報告していたことが 判明した。シフト管理表による実際の労働時間数を集計したところ、労働者8名について、36協定で定めた上限時間(月45時間)を超える違法な時間外・休日労働(最長:月310時間)が 行われていたこと及び実際の労働時間数に基づく割増賃金が支払われていないことが判明 した。


厚生労働省 │長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します   平成30年8月7日

人間って1か月で310時間も残業できるものなんですね。1か月休日なしで毎日10時間しないと達成できないですね。こうなると7連勤とか当たり前の世界なんでしょうね。恐るべき飲食業界!

きっと調査が入るまでに多くの人が犠牲になっているんでしょうね。責任感の強い人だったから310時間も1か月で残業できたんでしょうけど、ここまで来たら思い切ってやめることも大切だと思います。

こちらは旅館業の事例です。

繁忙期のため、時間外労働が見込まれていたにもかかわらず、36協定を締結・届出しておらず、労働者28名について、月100時間を超える違法な時間外・休日労働 (最長:月224時間)を行わせていたことが判明した。


厚生労働省 │長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します   平成30年8月7日

もう長時間残業をするのが当たり前な世界なんでしょうね。私からしてみればなんでそんなに耐えられるのかが不思議です……。

にしても36協定を届出していない時点で経営者や管理者としてひどいですね。もはや違法だとかそういう感覚があったのかも疑わしいですね……。

3位は製造業! 日本のものづくりは残業で支えられている!

3位は製造業でした。4,287件、73.4%が法令違反でした。

製造業だとざっくりしすぎてなんだかよくわかんないですよね……。食品と印刷だったらけっこうちがいますもんね。厚生労働省様もうちょっと細かく分けて公表してほしいです……。

工場などで様々な健康被害を受けることが多い工場では、技術者などに健康診断を年2回受けさせたり、特殊な検診も受けるよう法律で義務付けられていることが多いです。

当然、この健康診断を受けさせないと違法です。それもあってか製造業では健康障害防止措置の件数が他の業界と比べて少し多いです。

働く側としても、ちゃんとした健康診断が受けられなかったり、けがや病気を予防できるような仕組みがちゃんと整っていないと不安ですよね。

とはいっても、健康や安全に対する法律まで現場の人は知らないことが多いです。管理職や経営者、人事労務の人たちがしっかりと管理していかないといけない分野ですね。

こちらも、調査で発覚するまでに多くの人が被害を受けているのでしょう。

賃金不払残業が357件、健康障害防止措置が569件でした。製造業も1位の運輸交通業と比べて少し賃金不払残業が多いので経営がうまくいっていない感じがしますね。

まとめ

調査全体では下記のような結果だったそうです。

8,592事業場で1か月80時間を、うち5,960 事業場で1か月100時間を、うち1,355事業場で1か月150時間を、うち264事業場で1か 月200時間を超えていた。

月残業200時間ってなるともう仕事が人生ですね。そこまでして捧げたくなるようなお仕事なのでしょうか。

やりがいの搾取とかワーカーホリックだとかよく言われていますが、ここまでくるともう完全にブラックですね。

よほど体の丈夫な人じゃないとできないでしょう。

これから運送業などに転職・就職するという人達はそこの会社がブラックでないか気を付けましょう。

ハローワークなどで検索するのもよいですが、無料で求人を掲載させてもらえるため、ブラック企業が紛れ込んでいることも多いです。

マイナビやリクナビなどの一般的な求人広告だと、掲載するためには結構な料金の支払や基準等があるため、ブラック企業が少ないです。

人が辞めやすいブラック企業では「成長」だとか「実力主義で公正な成果」などの文言の求人広告を打つことが多いです。

しかし、人が辞めやすいと、教えてくれる人もあまりいないし、企業の中でのノウハウや経験が少ないことも多いです。

しかも、たいていこういう会社での「成長」は売上などの数字であることが多いです。

そうなってくると経験や知識、スキルよりも、残業して、時間をかけて数をこなして成果を上げるという考えに行きがちです。

新しいことに挑戦したり、知識や経験を深めてより良い成果上げるなんてやり方はできないことが多いです。

たいていこういう会社では一部のできる人だけが成果を上げていて、ほかの人たちはほとんど成果を上げれず辞めていってしまいます。

結果、生産性の低いブラック職場が出来上がってしまうわけです。このような会社では、スキルや経験を積んで成長することは難しいでしょう。

私のいた会社も「管理職でも持って3年」といわれるぐらい人の出入りが激しい会社でした。

営業のほとんどが経験の少ない人たちという会社で、ごく一部の役職者を除くと、数年でどんどん人が辞めていく会社でした。当然、教育だとか研修なんてものもないです。

そんな環境だとなかなかスキルが身につかず、成果を上げられないため、給与も上がらないのです。

成長して給与を上げたり、より自分の望む仕事をしたい方は「成長」や「実力主義」などの文言を掲げている求人広告の会社を避けたほうが良いでしょう。

求人広告の場合、ライターの方々が、どんなブラック企業であっても、広告宣伝のために、無理矢理でもとにかくその企業の魅力を探して書こうとします。

そうなると、このような「成長」や「実力主義」などの言葉に頼って、ブラック企業であることを感じさせない求人広告を作るのです。

ブラック企業も悪いですが、求人広告を作る側の人たちの問題でもありますね。

このほかにも、厚生労働省の資料には、実際に労基によって摘発したリストというものが公表されています。

電通で過労の末自殺した人がいた際、このリストに電通が掲載されたことで、一時期ネットでニュースにもなっていました。

ブラックであることが予想される業界で働く・もしくは働きたい方は、このような情報を頼りに、自分が転職・就職する会社がブラックでないか調べてみるのもよいかもしれませんね。

引用・参考文献

厚生労働省.「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します」
2019 https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000342612.pdf